第46回 どんな朝食をとるのか?

参照: BNIオリエンテーション・オーディオ(2014)第2章、第9回、第10回

安:第46回は、「どんな朝食をとるのか?」ということでお送りしてまいります。こちらの参照はBNIのオリエンテーション・オーディオ、2014年以降の第2章、そしてこのBNIポッドキャストの第9回そして第10回をご参照ください。
それでは大野さん、今回「どんな朝食をとるのか?」というテーマですけれども、これってどんな言葉の意味があるんでしょうか。

Diverse People in a Circle with Culture Concept

大野:そうですね。これはマイズナー博士もよくおっしゃっています「Culture Eats Strategy for Breakfast」という、これはどうやらピーター・ドラッカーの言葉のように見受けられるんですけれども。「文化は戦略を食う」とか、for Breakfastと書いてありますから、簡単に「食べてしまう」というような意味合いですね。朝食、Breakfastという言葉がありますので、「どんな朝食をとるのか?」というタイトルにさせていただきました。

安:なるほど。深そうですね、今日のお話も。

大野:はい。「カルチャーがどんな朝食をとるのか?」っていう意味ですね。

安:はい。

大野:この言葉の意味は、組織とか会社、企業の持つ戦略っていうものがどれだけいいものであっても、組織・会社の持つ文化、カルチャーが弱いものであると、ビジネスというのはうまくいかないということですね。

安:はい。

大野:逆にそれほど強力な戦略はなくても、文化、カルチャーというものがしっかりしていれば、ビジネスはうまくいく、成功するっていうことも可能だということですね。

安:うーん、はい。

大野:両方強力であることが望ましいわけですけれども。そうすることで、競合他社に常に勝ち続けることができるというふうにマイズナー博士もおっしゃっていますね。

安:はい。

大野:そしてほかの企業の持つシステムとか、技術、価格体系とか準備みたいなものを、そっくりまねするということは簡単にできるんですけれども、一方でその組織の持つ文化というものをまねすることは難しいというふうにおっしゃっています。

安:うーん。

大野:BNIには、ほかのどの組織とも違った特別な組織文化がありますというお話ですけれども、安さん、こう聞いてどういうふうに考えられますか。

安:そうですね。「なんちゃってBNI」って、大野さん、ご存じですか。

大野:そうですね。いろんなところに、ちょこちょこ出てきますよね。

安:そうですね。そういうのって、やはり外身をまねすることはすごくできるかもしれないけれども、中身までというのはやはりなかなか。一緒に同じような仕組みを取ってやろうっていうのは、あまりないような感じですけれど。

大野:中身っていうのは、文化っていう意味ですよね。

安:文化ですね、そうですね。

大野:そういえば、先日もある方からの情報で、申込書がBNIそっくりだったと。拝見すると本当に文言一つひとつ、そのまま使われていたりしてね。

安:そうですね。

大野:そういうものは簡単にまねすることはできるけれども、文化、カルチャーというものをまねすることは難しいということですよね。

安:そうですね。

大野:それでここでオリエンテーションCDの基本的価値観、「コアバリュー(Core Value)」、それからBNIの「トラディションズ(Traditions)」、伝統というものについて触れられていますけれども。その全てをカバーすると時間がかかってしまうので、コアバリューについては第9回と第10回を振り返って聞いていただくとして。では、トラディションからまた幾つかご紹介したいんですけれども。

安:はい。

大野:まず、ギバーズゲインはトラディションにも、基本的価値観にも入っています。そして「教育とトレーニング(Education and Training)」というのがトラディションの2つ目に入っていまして、次が「テスティモニアル(Testimonials)」、推薦ですね。これは第30回と第31回で推薦の言葉というところで触れさせていただいていますので、ぜひそちらを振り返っていただければと思います。

安:はい。

大野:それと4番目が、「Keeping the “Fun” in the Fundamentals」ということで、「常に楽しみの要素を保ちましょう」ということですけれども。何をやるにしても、やはり楽しくなければ続かないですよね。

安:そうですね。

大野:例えば、チャプターでミーティングをアジェンダに沿ってしっかりとやっていても、そこに楽しみがなければ、出席することへのモチベーションってやっぱり下がってしまうと思うんですよね。

安:はい。

大野:安さんは、チャプターのミーティングが楽しいですか。

安:楽しいです!

大野:ああ、いいですね。そうすると、もしかして楽しくないチャプターミーティングなんて想像がつかない感じですか。

安:そうですね。そんなところがあるんですか。

大野:あるんですよ。

安:へえー。

大野:ある国のあるチャプターに、私何度か訪問したことがあったんですけれども。ちょっとイギリスとか言っちゃうと問題があるので、言いませんけど。

安:言っていますよね(笑)。

大野:言っていました? 聞かなかったことにしていただければと思うんですけど(笑)。
そこのミーティングに参加していて、本当にアジェンダに忠実にプレゼントが進行していて、しっかりとしたミーティングだったんですけれども、最初から最後までメンバーの方たちが全然笑わないんです。

安:ふ~ん。

大野:笑いの場面が全くなくて、実は本当に終了直前に一回だけ笑って。もしかするとこれ、誰も一人も一回も笑わずに終わってしまうのかなって思って心配していたら、最後にちょこっとだけ笑う場面があったっていうのがありました。

安:ああ、よかった。最後にちょっと笑いがあって。

大野:また期が変わって、プレジデントを違う人がやっているときに行ったことがあったんですけれども、それも同じ雰囲気なんですよ。

安:へえ~。

大野:笑いが全くなくって、ほとんどミーティングが終わってしまうという。これ「ビジターだったらきっと入らないだろうなあ」というような、正直つまらないミーティングでしたね。楽しみの要素というのがないみたいな感じで。

安:そうですね。もう文化が、そういうふうに出来上がってしまっているんでしょうか。

大野:そうですね。このポッドキャストを聞いてくださっている皆さんのチャプターの中で、笑いはあるでしょうか。笑いといっても、内輪受けみたいな笑いはよくないですけど、排他的なね。疎外感をリスナーの方に与えてしまうんですけれども。ビジターも巻き込んで楽しい雰囲気をミーティングで醸し出すということは、すごく大事だと思うんですね。

安:そうですね。

大野:そして5つ目が、「人を気に掛け、それを知ってもらう」っていうことです。これは結構深いと思うんですけど、例えばあいさつ。あいさつの意味って何かっていうと、まさにこれは「気に掛けているよ」っていうことの信号ですよね。

安:そうですね。

大野:これ、あいさつとか握手とかでもいいんですけれども、していないということはお互い無視しているという状態なので、これはお互い「あなたのことは私、気に掛けていませんよ」っていうことなので。これは、信頼関係を構築する上でマイナスになってしまうんですね。

安:はい。

大野:なので、人と会ったときに、例えば目と目を合わせてその方の名前を呼んであいさつをするというのは、関係を構築するっていう意味合いでも、すごく大切なことだと思うんですね。

安:はい。

大野:「気に掛けているよ」っていうことを知ってもらう方法は、ほかにも幾つかあると思うんですけれども。例えば電話をするとか、メッセージを送ってあげるとか、声を掛けてあげるとか、会うとかっていうことですね。

安:そうですね。

大野:いろんな方法があるんですけれども、その人と時間をともに過ごすということだけではなくて、向き合ってコミュニケーションを取る、気に掛けてあげるっていうことを実践するっていうことが、すごく大切だと思うんですよね。

安:はい。

大野:最後、3つ目が、「ウォーキング・ザ・トーク(walking the talk)」と英語で言うんですけれども。これは日本語でいうと、「言行一致」です。有言実行という言葉があるんですけれども、どちらかというと言行一致というほうに近いと思います。

安:はい。

大野:BNIでは理念のギバーズゲイン、「与える者が与えられる」というものがありますけれども、これは言っているだけではなくて、やっぱり実践してこそ初めてそれが意味合いを持ってくるということで、ギバーズゲインの実践ということが大切になってくると思います。

安:はい。

大野:何と言ってもこのギバーズゲインという言葉が、BNIのカルチャーとか価値観の根幹を成す理念ですよね。ほかの人に惜しみなくビジネスを提供すれば、自分もほかの人からビジネスを提供してもらえるという考え方。オリエンテーション・オーディオで触れられているのは、「ソーシャル・キャピタル(Social Capital)」の話で出てきていました。

安:はい。

大野:ソーシャル・キャピタルって時々聞きますけど、日本語で何ていうかご存じですか。

安:えーと、社会関係資本ですか。

大野:そうですね。直訳すると社会資本なんていうことになってしまいがちですけれども、社会的関係とか人間関係のことですよね。

安:そうですね。

大野:訳すとすれば、「社会関係資本」というふうに訳したりするんですけれども、人的資本というものを形成していくということの大切さを言っています。

安:はい。

大野:ネットワーキングというものを通じてそれをやっているわけですけれども、貯金というものとよく似ているというたとえ話ですよね。賢く投資を続けていれば、必要なときにそれを引き出すことができる、貯金のようなものだというふうな話をしています。人的資本というものを日ごろ与えるということ、ギバーズゲインの実践を続ける、実践することで、人的資本が形成されていく。必要なときに、ほかの人の力を借りることができるという意味合いですね。

安:はい。

大野:BNIで成功する、利益を上げるためには、このギバーズゲインの理念を信じて、積極的にそれを実践する必要があるというふうに言っていますね。

安:はい。

大野:ソーシャル・キャピタル、すなわち先ほど言った社会関係資本のその理論でもある助け合いの法則、互恵の法則というのをよく言いますよね。

安:はい。

大野:これに基づいていて、自分がやったことというのは、いつか自分に返ってくる。これは因果応報という言葉がありますけれども、昔からよく言いますよね。

安:はい。

大野:あなたが誰かを助けて、その相手も誰かほかの人を助けることで、その結果みんなに恩恵がもたらされるという仕組みですよね。

安:はい。

大野:日本でも、たらいの法則とか、あとこれ論語ですか、先義後利という言葉も時々聞きますけれども、同じような意味合いだと思うんですね。

安:はい。

大野:BNIのメンバーは、この理念に沿って自分のビジネスを獲得するよりも、まずはほかの仲間のメンバーにビジネスの機会を提供することに努めるということですね。

安:はい。

大野:そうすることで自然とほかの人たちもお返ししたくなりますから、仲間のためにビジネスを提供したいと思うようになるということでした。

安:はい。

大野:ギバーズゲインって人生全般においても、自分たち、私たち自身が従うべき指針としては素晴らしいものだと思うんですけれども。マイズナー博士も横浜のナショナルカンファレンスが、何年前でしたかね、もう1年2年…。

安:1年ぐらい前?

大野:1年前でしたか。そのときに講演でお話ししてくださっていましたけれども、ギバーズゲインっていうのは、実践できていない人を非難するとか批判するための道具ではなくて、自分たち自身、私たち自身の行動規範になんだということをおっしゃっていましたよね。

安:はい。

大野:これはすごく大切なポイントだと思うんです。

安:そうですね。

大野:時々、見掛けませんか。ほかの人に対して「あいつはギバーズゲインを実践していない」とか、そんな感じの。

安:あります(笑)。

大野:やっぱりそうですかね。

安:はい。

大野:横浜のカンファレンスでマイズナー博士がその話をされていたときに、人に対して指を指して批判・非難をするときに、「あいつはギバーズゲインの実践をしてない」と言っているその指の、まあ人さし指は相手に向かっているんですけれども、中指から小指までの3本は自分を向いているというふうにおっしゃっていましたね。

安:あ~、本当だ。

大野:「あいつはギバーズゲインを実践してない」と言っている人の指3本は、自分のほうを向いていると。鋭いなと思ったんですけどね。

安:確かに。

大野:はい。

安:それでは、そろそろ終わりに近づいてまいりましたが、大野さんからメンバーの皆さんへメッセージはありますか。

大野:はい。今回カルチャー、文化の話でしたけれども、BNIはご存じのとおりギバーズゲインというものを核にして、それ以外にも実はコアバリュー、基本的な価値観、そして伝統、トラディションズというものがあるということですね。ぜひチャプターの中でも共有していただいて、戦略よりもカルチャー、文化というものが非常に重要で、文化は戦略を食う、Culture Eats Strategy for Breakfastという言葉が示すように、戦略だけじゃなくて文化もしっかりチャプターレベルで強力なものにしていっていただければと思います。

安:はい。ありがとうございました。

大野:ありがとうございました。

第46回 どんな朝食をとるのか?” への4件のフィードバック

  1. この会を聞いての気づきは
    チャプターの環境創りと文化創りは
    とても重要だと思います。
    特に
    お金と時間と命を使ってくれたビジターの方々が
    楽しく過ごせ
    価値を感じてくれて環境創り第一歩だと思います。

  2. 文化は戦略を食う。一人一人の行動や思いやり、ギバーズゲイン(与えるものは与えられる」)で組織が育つと思うし、まず、何かを得たいのなら、何かをあたえる、その事によって周りから与えられるという事を学びました。

  3. メンバー一人一人
    貢献をしながら相手の役に立つ
    を意識していく事 全て具体的な時間の使い方
    行動をしていく事
    信用、信頼を作っていくためにも
    個々でやる事チームでやる事双方をしながら
    盛り上げていく

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