第107回 転移性月並み症候群

参照: 英語版Episode 560: I Hit HIDWAL

安:第107回は、「転移性月並み症候群」と題してお送りいたします。英語版のエピソード560をご参照ください。
このポッドキャストは、コンビニの人材育成を支援するこんくり株式会社チームビルディング研修のJCTBの提供でお送りいたします。

Ladder standing inside hole isolated on a white background安:さて大野さん、「転移性月並み症候群」というタイトルなんですが、これについてお話をいただけますか。

大野:はい。これはよくマイズナー博士が話してくださる、私も大好きな話なんですけれども、ジム・コリンズという人が書かれた『Good to Great』という本があります。これは日本語版も出ていまして、メンバーの皆さんの中でもすでに読まれた方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』というタイトルで出ています。

安:はい。

大野:その本で伝えているメッセージというものを、1つのフレーズで表すとすると、マイズナー博士が紹介してくれていますけれども、bad is not the enemy of great。badとは悪いという意味ですよね。badはgreatの敵ではないと。でもgoodがgreatの敵なんだよと。greatというのは素晴らしいという意味ですよね。
安:はい。

大野:普通、何かひどい悪い状況になると、誰でもそれに気が付くんですけれども、このジム・コリンズが言うには、great performance、つまり素晴らしいというか偉大なperformanceの敵というのは、実はbadではなくてgoodなんだよというメッセージですね。

安:はい。

大野:ちまたでよく聞くフレーズがあると思うんですけれども、例えばそれくらいで十分だよ、大丈夫、ほら悪くないよ、うまくできてるという。そういう声をよく聞く、耳にすることはあると思うんですけれども、マイズナー博士は仕事における転移性月並み症候群というふうに言っています。英語ではmetastatic mediocrity at workという表現をしていますね。

安:はい。

大野:metastaticというのが、この転移性という言葉の意味ですけれども、体中をむしばんでいってしまうという意味でしょうね。

安:なるほど、そういう意味なんですね。

大野:mediocrityはおなじみですけれども、月並みとか平凡なとか、凡庸なという意味ですね。

安:はい。

大野:マイズナー博士もポッドキャストで言ってくださっているように、自分のしている仕事が大好きでいろんな人をそのビジネスにおいて成功するのを助ける、手助けするということに情熱を感じているというふうにおっしゃっていますけれども。私もすごく今のやらせていただいている仕事は大好きなんですけれども、マイズナー博士もよく成功したいと言っているのに、自分の状況を変えることにあまり熱心でない人に出会うことが多いというようなことをおっしゃっていますけれども、これは結構目にしますよね。

安:しますね。よく聞くフレーズだなと思いました。

大野:はい。これは人ごとじゃなくて、自分にも言えるような気がするんですけれども。

安:ドキっですね。

大野:例えば目標を達成したいと思っていても、その目標達成につながるような行動ができていないとか、これは誰でもあるようなことだと思うんですけれども、マイズナー博士はこれを成功断絶、success disconnectという表現を使って、面白いですね。

安:そうですね。

大野:成功に結び付かないという意味なんでしょうね。

安:はい。

大野:もっと成功したいのに、よく分からない理由で自分の願望とそれにつながるはずの振る舞いとか、行動の間のつながりが見えていないという状況ですね。

安:はい。

大野:一方で、もっと稼ぎたいというようなことを言っておきながら、数カ月後にはそれを実現させるのに必要な変化を起こすことに、何か心地悪さを感じているような発言を耳にすることもあるというふうに、マイズナー博士はおっしゃっていますけれども。その成功断絶の表現の中でマイズナー博士の一番のお気に入りが、ご存じないと思いますけれども、これはここではうまくいかないんですと。なぜならということで、その後に言い訳が続くということらしいんですけどもね。これも国を問わずよく聞くフレーズだと思うんですけどね。

安:そうですね。

大野:これぐらいで十分だろうとか、もうこれでいいよねというのが、がんのようにどんどん進行していって、やがて転移性月並み症候群になってしまうというふうにおっしゃっていますね。

安:怖いですね。

大野:本当ですね。

安:はい。

大野:今回、この英語版で面白い表現が使われているんですけども、「I’m Happy in this Hole, and I Don’t Want A Ladder」という表現なんですよ。

安:はい。

大野:僕はこの穴の中で幸せなんだから、その穴から出るためのはしごはいりませんということですよね。

安:ああー。

大野:この穴というのは、結局そこからは動けないわけですから、穴から出ない限りは移動ができないわけですよね。なので、居心地が良くなって、そこから出たくない、動きたくないというのは、変化を嫌うという人間の性質ですかね。ここが顕著に出ているような状況だと思うんですけれども。はしごを掛けてその穴から出るというのは、やっぱり体力を使う、苦労する、簡単じゃないかもしれないと。変化をもたらすということは、苦痛を伴うんだと、脳がそれに対して拒絶反応をするような状況かもしれませんね。

安:そうですね。

大野:時には自分が置かれている状況に対して、不平不満を言っている人というのは見掛けることはありますけれども、その人に対して例えばリファーラルを提供して、それによってその人を助けてあげることができるというアイデアがあるかもしれません。

安:はい。

大野:でも、せっかくそういう提案をしても、相手の人が、いや、それはうまく機能しないんですよと。そんなことやってもうまくいかないに決まっています、というような反応を見ることがありますよね。

安:そうですね。せっかくの提案が、その一言によって本当に水の泡じゃないですけど、終わってしまうということが時々あるような気がします。

大野:そうですね。

安:はい。

大野:はたから見ていると、まさにはしごが必要な状況の人というのはいたりするわけですよね。

安:はい。

大野:はしごが必要な状況であるにもかかわらず、その人、当人ははしごが欲しくない、必要ないというふうに思っていたりするわけですよね。マイズナー博士がおっしゃっていることは、本当に私もそういうふうに思うんですけれども、はしごが必要な状況にある人が、そこから抜け出したいということで、はしごを欲しいと思っていれば、その人たちを助けることはいくらでもできるし、いくらでもやりたいと思うんですよね。

安:はい。

大野:でも、逆に本人が欲しくない、必要じゃないと言っている状況においては、こちらの提案とか手助けというのは、無駄になってしまうわけですから、恐らくチャプターの中にもはしごが必要なんだけれども、必要じゃないと言っている人もいるし、はしごが欲しいと言っている人もいらっしゃると思うんですよね。今回ぜひ、皆さん、このリスナーのメンバーの皆さんに自問自答してほしいことは、自分はより成功するためにはしごが必要なのかどうか、安さんははしごが必要でしょうか。

安:そうですね。私は割と普段から変化を求めるタイプなので、実は常にはしごを欲しているのかもしれないです。

大野:なるほど。

安:はい。

大野:じゃあ、どんどんはしごを持っていきましょうかね。

安:ありがとうございます、ぜひ。

大野:周りのメンバーも、リファーラルの出しがいがありますよね。

安:そうですね。私が結構伝えることが難しいというか、ハードルが高いと思われることもあるみたいなんですけれども、それが紹介につながったときに、ものすごく喜んでくださるんですよ、メンバーの皆さんが。

大野:おおー、なるほど。

安:やっぱりそういうのを見ていると、私ももっともっと次のニーズが必要になってくるというか、次もっとこれが欲しいなと思ってくるようになるので、その意味ではやっぱり変化をすごく求めているんだろうなと思います。

大野:そうですね。

安:はい。

大野:やはりBNIのようなビジネスを目的とした、ビジネスをより拡大していって、より大きな社会の貢献とか、人の役に立ちたいという人たちが集まっているコミュニティーだと、なおさらそこが強調される部分があるかもしれませんね。

安:そうですね。

大野:大事なポイントの1つとして、マイズナー博士も指摘されているのは、まずはしごが必要な人が自分自身で必要性を認識しないといけないと。その上で、それを望むということが必要なんですよね。だから、はしごの必要性を認識していない人に、いくらはしごを提案したり提供したりとかしても、無駄だということですよね。

安:そうですね。

大野:でもね、安さん、いろんな人がいますよね、世の中に。だから、穴の中、変化を喜ばないというよりかは安定を望むというんですかね。変わらないことをよしとする人も恐らくたくさんいらっしゃると思うんですよ。

安:あー、はい。

大野:要はさっき言った、今いるこの穴の中というのが居心地が良くて、そこから出たくないという人も少なくないということは覚えておかなくちゃいけないことだと思うんですよね。

安:はい。

大野:その人たちに変化を強要したりとか、はしごを使って上がってこいと言っても、双方不幸になってしまうかもしれませんよね。

安:そうですね。

大野:穴の中の居心地がいいというのは、きっとどんどん穴を大きくしていって、そこにずうっといる前提でさらに居心地良くしていくみたいな、そんな感じですかね。

安:そういうことなんですね。

大野:なので、私たちが助けられるというのは、状況をしっかりと認識していて、そこから抜け出したいという人なんですよね。

安:はい。

大野:さらに言うと、穴から出たいというだけでなくて、その穴から出るためだったら何でもするというぐらいの意欲というんですかね、熱意が必要だということですよね。そういう人であれば、私たちはどんどん助けることができるということですよね。

安:はい。

大野:なので、リスナーの皆さんも、今後も助けを必要としている人にたくさん出会うと思うんですね。マイズナー博士からのアドバイスとしておっしゃっているのは、その人たちがはしごを受け取る準備ができているかどうかということを、見極めなくちゃいけないということですね。

安:はい。

大野:もし、その準備ができていないようであれば、その準備ができたときにいつでもそのはしごを提供する用意があるということを伝えて、また次のはしごを必要としている人の所に行けばいいわけですよね。

安:はい。

大野:goodがgreatの敵であると。マイズナー博士が提案することには、リスナーの皆さんにもぜひ周りの人たちのことを考えてみていただきたいと思うんですけれども、まず自分自身が穴の中にいるのかどうか、そして自分の身の回りで知り合いに穴の中にいる人がいるかどうか考えてみていただきたいと思います。

安:はい。

大野:必ず穴から抜け出す方法というのはあるはずなんですね。もし自分がその穴の中にいる1人だとすれば、そこから抜け出すために助けてくれる自分自身のメンターになれる人は誰なんだろうかということ。それから、もしかしたら実在する人ではなくて、書籍とかビデオの中のバーチャルコーチというんですかね、そういったものも穴の中から抜け出すはしごとしての役割を果たしてくれるかもしれません。

安:はい。

大野:例えば、昔は英語版も日本語版もポッドキャストはなかったわけですけれども、今はいろんなポッドキャスト、そしてYou Tubeのビデオとか、たくさんのコンテンツがちまたにあふれていますよね。そういうものもバーチャルメンターとして、穴から抜け出すために役に立つかもしれません。役に立つ可能性も十分あると思うんですよね。そして、はしごを必要としている人を見いだして穴から抜け出して、さらなる成功をつかみ取る手助けをしていただければというふうに思います。

安:はい。

大野:マイズナー博士がよくおっしゃっている、excellenceという選択肢があるのにmediocrity、いわゆるありきたりで満足してしまうというのは、なぜなんだろうというふうにおっしゃっていますよね。

安:はい。

大野:「Why accept mediocrity when excellence is an option?」これは本当に私、好きなんですけどね。なかなか実行するのが難しくて、戒めとして常に心の中にしまっていますね。自分自身が穴の中にいると思えば、そこから抜け出すためのはしごを持っている人を探せばいいんですよね。

安:はい。

大野:自分がそういったはしごを持っていれば、それを必要としている人を探して、手を差し伸べるということはできますよね。つまりは、他の人が成功をするのを手助けするということになります。

安:はい。

大野:逆に穴の中にいたいという人たちについては、残念ながらこの人たちにしてあげられることはあまりないと思うんですね。

安:はい。

大野:なので、その人たちがはしごが必要だという段階になるまで、待つしかないということですね。

安:そうですね。

大野:安さんは、この穴とはしごの理論はどう思われますか。

安:そうですね。私、ちょっとお話を聞いていて思ったのが、チャプターの例えばエデュケーションコーディネーターの方で、最近このポッドキャストをよく聞いて、それをメンバーの皆さんにシェアをしている方が多いと伺うんですね。

大野:はい。

安:それは、例えばチャプター全体においても今、穴の中にいるかもしれない。でも、それを抜け出すためのヒントをもしかしたら必要としているかもしれないと思ってやっている方もいれば、それが総じてといいますか、後々に個人、そのメンバーそれぞれの方個人に対しての助けになる、はしごになるという可能性も秘めているのかなと思ったんです。

大野:おおー、素晴らしいですね。そうなってほしいですね。

安:はい。そういうポッドキャストでもありたいなと思うので。

大野:はい。でも、もしかしてチャプター全体が穴の中で過ごしたいというチャプターがいたら、役に立てないわけですよね。

安:それちょっと寂しいですね。

大野:寂しいですね。

安:はい。やっぱりBNIのメンバーで、そしてチャプターに所属しているメンバーは、みんな何かしらの形で成功したいとは思っているはずなので、その答えが明確に見つからなかったとしても、実は心のどこかで、そのはしごを求めているんじゃないかなと私は信じているんですけどね。

大野:なるほど。ちょっとたちが悪そうな例としては、例えば穴の中からはしごを上って出ようとしていないんだけれども、やはり穴の中で不平不満だけ言っている人、不平不満を聞いてあげるんだけれども、それをなくす、あるいは解決するためのはしごを提供しようとしても、それを拒む人というのもいるということですよね。

安:そうですね。

大野:本当に成功したいと思えば、常に最適な、自分に適したはしごを探し続けるはずだというふうにマイズナー博士はおっしゃっていますね。

安:はい。

大野:さらに言えば、穴の中にいなくても、さらに上の成功に達するためのはしご、そういうものも探し求めていくべきだというふうにマイズナー博士はおっしゃってくれていますね。常にさらに上へ上へといった成功を目指して、はしごを探し求めるということなんですかね。

安:そうですね。

大野:はい。

安:それでは、そろそろ終わりの時間に近づいてまいりましたが、大野さんからメンバーの皆さんへメッセージはありますか。

大野:はい。このポッドキャストを聞いてくださっている皆さんには、ぜひご自身がもし何らかの穴に入っているとしたら、それがどんな穴なのか自問自答していただきたいと同時に、ぜひもしエデュケーションコーディネーターだったりとか、あるいはそういったエデュケーション、学習コーナーを担当する機会が得られるのであれば、ほかのメンバーの皆さんとシェアしていただければと思います。

安:はい。ありがとうございました。

大野:ありがとうございました。

このポッドキャストは、コンビニの人材育成を支援するこんくり株式会社チームビルディング研修のJCTBの提供でお送りいたしました。

第107回 転移性月並み症候群” への6件のフィードバック

  1. はしごを出すにははしごを出してることを周りに言わなければいけない。
    また、はしごを欲している人にははしごを出せる人間でなくてはならない。
    BNIは素晴らしい組織だと感じます。

  2. ど真ん中のおなにはまってますが
    どんなはしごが必要なのかもあまりわかってませんので 素直にけいこうするためのはしごを見つけようと思います

  3. 今回のポットキャストは具体的な人物像が見えちゃって戸惑いました。
    穴の中にいたいと思ってる方がいたとして、でも私がどうしても引き上げたいと強く思う時、1番つらいかもしれないですね。

  4. この回は、特に定期的に聴き続けたいと思いました。
    自分が今どの位置にいるのか?または相手にどう接していくのがいいのか? ふと立ち止まって答えあわせをしたい内容です。 非常にためになるお話をありがとうございます!

  5. 自分がはしごを出す立場だとすると、相手が本当に外に出たいと思っているのかを見極めることが必要だし、逆の立場なら、本気で外に出たいという意欲もないのにはしごを欲するのは、はしごを出してくれる人の労力・時間を無駄にする最悪なことだと思った。
    本当に必要としている人にはしごを出せる人、出してもらったはしごを力強く登り外に出られる人になりたいと思う。

  6. 自分はより成功するためにはしごが必要なのかどうかを問うてみたら、割と変化をする事を求めるタイプなので、多分穴にいるのは居心地が良いとは感じてない方だと思う
    仮に自分が「はしごを出している立場」なら、相手も時間などの労力を使うので、本気でやらないと失礼にあたると思った。自分が「はしごを出す」という時には、全力で登っていこう。定期的にこのお題は考えていこうと感じました。

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